Project Story #2

「環境・衛生」管理業務の
最適化を目指して
―フジテレビ本社ビル

今回お話を伺ったのは

石井さん
フジテレビ事業所

Project Outline

フジサンケイグループのシンボル、フジテレビ本社ビルの清掃業務にあった課題。

東京・お台場のフジテレビ本社ビル――。フジサンケイグループのシンボリックな建物であり、お台場のランドマークタワー的存在でもある。日本の放送局の本社社屋の中で、最も規模の大きなビルであり、総延べ床面積は14万1825㎡。地上25階の高層部は、「オフィスタワー」と「メディアタワー」の2棟からなり、2棟のビルの間にそびえる球体展望室は、「はちたま」の愛称で親しまれている。フジテレビ本社ビルが開館したのは1997年。当時から、サンケイビルマネジメントは、清掃業務を担当してきた。しかし、すべてを受託していたわけではない。同業他社6社がエリアごとに請け負う体制で、そのうちの1社だった。そしてここへきて、フジテレビサイドから要請されたのが、数社による清掃業務を整理することであった。現場の作業内容やコストにバラツキが見られ、品質が不安定だったからだ。また、それなりのコストダウンも求められた。それらニーズに応える、清掃管理業務の最適化・再構築に向けてサンケイビルマネジメントは動き出した。

Chapter

清掃管理業務の一括受注へ。
業務体制の再構築、コストダウンの実現。

ビルマネジメントとは、建築物の総合的な運営管理を指すが、施設管理業務に限定すれば、一般的に、「設備」「清掃」「警備」の3分野を指す。この内、サンケイビルマネジメントは、フジテレビ本社ビルの清掃管理業務を同業他社と担ってきたわけだが、数年前から課題は噴出していた。請け負っていた6社それぞれに考え方があり、清掃管理業務の統一化が図られていなかったことの限界が来たのだ。また、フジテレビとしては6社の管理を行う必要があり、社内業務の合理化・効率化を求めていた。それを察知したサンケイビルマネジメントは動き出した。目指したのは清掃管理業務の一本化であり、すなわち複数社体制で業務を遂行するのではなく、サンケイビルマネジメントが一括で清掃管理業務を請け負うということである。
一括受注に向けて営業セクションの活動が始まったが、事は容易に進まない。フジテレビに課題認識はあったものの、サンケイビルマネジメントが一括で請け負うということは、それまで長年にわたって直接取引があった他管理会社との契約を解消することになるからだ。フジテレビとしては、そのような果断な処置は避けたいという想いがあった。それに加え、統括的立場を管理会社に単純に任せることは、コストアップを意味する。
このような現状を捉え、フジテレビサイドの課題を解決し、かつコストメリットも付加させた総合的な提案が必要だった。

Chapter

業務品質を保つ作業内容の検討。
快適環境を維持しつつコストを削減。

放送局という建物は、通常のオフィスビルとは大きく異なる。24時間365日稼働しているビルであり、清掃スタッフも24時間体制で整える必要がある。特徴的なのが、一般のオフィスビルと異なり、情報発信拠点であるため大量の紙の使用があり、また大量のごみが出ることだ。これらの速やかな回収は清掃業務の重要なポイントとなる。
2021年秋。サンケイビルマネジメントは、近い将来の新たな業務スキーム、コスト20%削減実現の展望を提案。第1ステージでは、6社体制はそのまま維持した状態で、「元請」となり、同業他社は協力会社という位置付けとした。そこから具体的な、清掃管理業務再構築の取り組みが進められていくことになる。まず、コストを20%削減する場合、懸念されるのは業務品質の劣化である。業務品質を保つ仕様を詳細に検討していった。それまで6社にバラツキがあった作業内容を平準化し、作業ごとの標準単価を設定し、全体を俯瞰するため全てデータ化した。6社の既存単価はもちろん、他物件の単価とも比較し、協力会社に理解・納得が得られる価格を決定した。そしてコストダウン実現の要となる、実際の清掃作業内容の変更に着手した。それは、端的に言えば清掃回数の見直しである。たとえば、あまり人が通らず、業務に直接影響のない廊下や階段などは、これまで週5回だった清掃回数を週1回に削減。このように、清掃業務の目的である、「快適環境の実現」に大きく影響しないエリアの清掃頻度を大胆に減らしていった。こうした提案と実践を積み重ね、新しい業務スキームが完成し、コスト20%削減も実現。2022年10月、サンケイビルマネジメントは第2ステージとなる新たな統括管理体制を構築した。

Chapter

「環境・衛生」という幅広い管理分野。
新たな管理業務の取り組みが始まる。

新たな統括管理体制において、それまでの6社による業務体制を維持することはできなかった。作業頻度を大幅に削ったことから、1社あたりの発注金額が減りすぎてしまうため、業務エリアを再構築せざるを得なかった。6社から4社へ、2社に退いてもらわねばならなかった。このプロジェクトの担当者にとって、最も厳しい局面だったという。これまでの業務遂行力のみならず、第三者に業務品質の評価を依頼するなど、客観的な視点も含め、公平性を重視して退いてもらう2社を決定した。
清掃管理業務と一口に言っても、実際の業務範囲は幅広い。「環境・衛生」分野の管理業務とされており、通常の日常清掃に加え、廃棄物回収、植栽管理、害虫駆除、衛生品などの消耗品補充等に加え、新たにガラス清掃も請け負うことになった、これはビルの窓ガラスに加え、外壁やフジテレビ本社ビルのシンボル的存在である球体展望台表面の清掃を指す。特殊な高所作業が加わることで、より高度な安全の確保が求められることとなった。またコロナ禍が明けたことから、今後、かつてのようにテレビ局主催のイベントも多数開催される予定だ。多くの人が訪れることから、綿密な清掃計画が求められる。今回、サンケイビルマネジメントが清掃管理業務の統括管理を実現したのは、フジサンケイグループの一員であることも大きいことは確かだ。だがそれ以上に、現状の課題を見出し、その解決に向けて最善の策を提案、幾度となく検証していった、その姿勢が評価されたからにほかならない。フジテレビ本社ビルは、サンケイビルマネジメントが管理する物件の中でも最大規模の建物であり、グループのシンボリックなビルだ。このプロジェクト成功は始まりに過ぎない。そのマネジメント力を長期に継続することこそが最大のミッションであることを、関わる担当者すべてが自覚している。

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